保育園が内定し、この4月から復職のつもりだったけど、コロナウイルスの影響で保育園から登園自粛を呼びかけられた。会社も育休延長OKだというけれど…?
保育園内定状態で育休を延長できるのか、不承諾通知(入園保留通知)がなくても育児休業給付金を受け取ることができるのか、1日も登園せず復職しないままの状態で内定は取り消されないのか、という点について、現状の情報をまとめてみたいと思います。
育休延長期間、23区の最新事情はどうなってるの?(2020年5月8日時点)
例年だと育休復帰までの猶予は、だいたい1か月(自治体によって多少差異あり)。4月入園が内定していた児童は、その年の5月1日までに保護者が復職することが在園条件となっているところが大多数です。
が、2度の緊急事態宣言の延長を受け、各自治体も軒並み、復職日の延長を発表しています。23区のみ、ざっとまとめてみた感じは以下のとおり。
2020年5月8日時点での復職日期限(東京23区)
開園状況 | 育休後の復職日期限 | 備考 | |
千代田区 | 5月31日まで原則休園 | 6月末日までに復職 | |
中央区 | 5月31日まで臨時休園 | 6月末日までに復職 | 慣れ保育の開始は6月1日以降 |
港区 | 6月30日まで登園自粛 | 6月末日までに復職 | 前月25日までに1ヶ月分の休業延長を申請 |
新宿区 | 5月31日まで登園自粛要請 | 6月末までに復職 | |
文京区 | 6月30日まで臨時休園 | 6 月復帰の場合7月20日に復職証明書を提出 | 7 月以降の取扱は該当者に別途案内 |
台東区 | 5月31日まで登園自粛要請 | 6月末日までに復職 | |
墨田区 | 5月31日まで臨時休園 | 7月1日時点の復職 | 復職証明書の提出期限は7月10日 |
江東区 | 5月31日まで臨時休園 | 6月末日まで | |
品川区 | 5月31日まで強い登園自粛要請 | 7月中の復職が必要 | |
目黒区 | 6月30日まで臨時休園 | 7月末日まで | |
大田区 | 6月30日までの登園自粛要請 | 6月末日まで | |
世田谷区 | 5月31日まで臨時休園 | 6月中の復職 | |
渋谷区 | 5月31日まで臨時休園 | 7月末日まで | 復職月の翌10日までに復職証明書を提出 |
中野区 | 5月31日まで臨時休園 | 8月1日まで | 5月、6月入園も同様の扱い |
杉並区 | 5月31日まで臨時休園 | 6月中の復職 | |
豊島区 | 5月30日まで臨時休園 | 8月1日まで | |
北区 | 5月30日まで登園自粛 | 7月1日まで | |
荒川区 | 5月31日まで臨時休園 | 7月1日まで | |
板橋区 | 5月31日まで規模縮小で開園 | 6月末日までに復職 | |
練馬区 | 6月末まで規模縮小で開園 | 7月末日まで | 7月末日までに復職証明書を提出 |
足立区 | 5月31日まで臨時休園 | 10月1日までに復職 | |
葛飾区 | 5月31日まで休園 | 10月1日まで | |
江戸川区 | 5月31日まで利用制限 | 7月1日までに復職 |
おお…。けっこう区によってバラつきはありますが、どの区も「1日も登園しなかった」という状態でも、退園にはならないようです。
もちろん、上記の期限までに復職しない場合は退園となります。「感染が心配だし、もうちょっと家で見たい!」という人のお住まいが、復職期限の長い自治体だといいのですが…。
ちなみに、職場復帰ができないことを証明する書類(会社の証明書など)の提出を求める自治体とそうでない自治体は、まちまち。23区の多くは証明書不要ですが、そうでない地域も全国的にはけっこう多いですね。
会社で書類を発行してもらう必要はなくても、1か月ごとに「休業します」という届け出書類が必要な区、復職予定日を記載して提出しないといけない区など、申請の様式はさまざまです。内定先の保育園かお住まいの自治体の保育課へ、しっかり問い合わせを!
不承諾通知(入園保留通知)がなくても育児休業給付金を受け取ることができる?
まず結論から言うと、基本的には受け取れるようです。
厚労省としては、育児休業は労使合意のもとにあるもので、保育園不承諾通知なしに会社が独自に育休を延長したとしても問題はないとの見解が示されています。
ただし、 不承諾通知の有無に関係なく、保育園から登園自粛要請があったのか、自主的な登園自粛なのか否かで、育児休業給付金の支給が分かれる場合があるようです。
内定取消は? | 育児休業給付金は? | |
園からの登園自粛要請があり 育児休業を延長した | しない | 受け取れる 一度復帰したあと 再度育休を取っても 受け取ることができる |
自主的な登園自粛で 育児休業を延長した | 原則しない ※自治体による | 受け取れるが 1歳6か月を過ぎていて 一度復帰したあと 再度の育休を取った場合 給付金は受け取れない |
1歳以上の育休=「不承諾通知ありき!」みたいなところがあるため、不承諾通知がないと給付金が受け取れないのでは…と焦った人もいるのでは。
意外にも不承諾通知というのはガッチガチのマストアイテム!というわけでもないのですかね。こんな時だからこそ、柔軟な対応がなされているのかな。
以下、参照元の情報。
厚生労働省- 新型コロナウイルスに関するQ&A (4- 問16、問17より)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q4-16
<保育所への登園自粛を要請された場合の育児休業の延長>
問16 保育所に子どもを入所させる予定だった労働者が、市区町村等から当該保育所への登園自粛の要請を受けたため、当面子どもを保育所に預けないこととなりました。こうした場合、育児休業の延長を認めなければならないでしょうか。
<子どもが1歳までの場合>
現在育児休業中の労働者から申出があった場合、事由を問わず育児休業の終了予定日の繰下げ変更(最長1歳まで(※1))を認める必要があります(※2、3)。法令上は繰下げ変更は1回までとされていますが、2回以上の変更を認めることは差し支えありませんので、労働者の事情も考慮し労使でよく話し合っていただくことが望まれます。なお、繰下げ変更後の休業期間についても育児休業給付金は支払われます。
また、育児休業から一度復帰している方から再度の休業の申出があった場合も、休業(最長1歳まで(※1))を認める必要があります。なお、再度の休業期間についても育児休業給付金は支払われます。
(※1)両親がともに育児休業をする場合、一定の要件を満たせば最長1歳2か月まで(パパ・ママ育休プラス)
(※2)1歳から1歳6か月までの休業、1歳6か月から2歳までの休業それぞれについても同様に繰り下げ変更を認める必要。
(※3)繰下げ変更の申出は1か月前となっているが、申出が直前になった場合でも、繰下げ変更を認めることは可能。<子どもが1歳又は1歳6か月になるときの場合>
子どもが1歳又は1歳6か月になるときに、引き続き育児休業をしたい旨労働者から申出があった場合、育児休業(1歳からの休業は最長1歳6か月まで又は1歳6か月からの休業は最長2歳まで)を認める必要があります。なお、引き続き休業した期間についても育児休業給付金は支払われます。
このほか、労使の話し合いにより、例えば子どもが2歳以上の場合などについても独自に休業を認めることは差し支えありません。なお、こうした法を上回る対応により認められた休業期間については、育児休業給付金は支払われないためご留意ください。
労働者の雇用が継続されるよう、柔軟なご対応をお願い致します。
<自主的に保育所への登園を自粛した場合の育児休業の延長>
問17 保育所に子どもを入所させる予定だった労働者が、市区町村等からの登園自粛の要請は受けていないものの、感染防止のために自主的に子どもを保育所に預けないこととしました。こうした場合、育児休業の延長を認めなければならないでしょうか。<子どもが1歳までの場合>
現在育児休業中の労働者から申出があった場合、事由を問わず育児休業の終了予定日の繰下げ変更(最長1歳まで(※1))を認める必要があります(※2、3)。法令上は繰下げ変更は1回までとされていますが、2回以上の変更を認めることは差し支えありませんので、労働者の事情も考慮し労使でよく話し合っていただくことが望まれます。なお、繰下げ変更後の休業期間についても育児休業給付金は支払われます。
また、育児休業から一度復帰している方から再度の休業の申出があった場合には、再度の休業を認める必要はありませんが、各企業において独自に再度の休業を認めることは差し支えありません。なお、こうした法を上回る対応により認められた休業期間については、育児休業給付金は支払われないためご留意ください。
(※1)両親がともに育児休業をする場合、一定の要件を満たせば最長1歳2か月まで(パパ・ママ育休プラス)
(※2)1歳から1歳6か月までの休業、1歳6か月から2歳までの休業それぞれについても同様に繰り下げ変更を認める必要。
(※3)繰下げ変更の申出は1か月前となっているが、申出が直前になった場合でも、繰下げ変更を認めることは可能。<子どもが1歳又は1歳6か月になるときの場合>
厚生労働省- 新型コロナウイルスに関するQ&A (4- 問16、問17より) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q4-16
子どもが1歳又は1歳6か月になるときに、引き続き育児休業をしたい旨労働者から申出があった場合、申出を認める必要はありませんが、各企業において独自に休業を認めることは差し支えありません。なお、こうした法を上回る対応により認められた休業期間については、育児休業給付金は支払われないためご留意ください。
このほか、労使の話し合いにより、例えば子どもが2歳以上の場合などについても独自に休業を認めることは差し支えありません。なお、こうした法を上回る対応により認められた休業期間については、育児休業給付金は支払われないためご留意ください。
労働者の雇用が継続されるよう、柔軟なご対応をお願い致します。
自粛要請があった場合と自主的な登園自粛との「差分」を見出すのに、メチャクチャ苦労したーーーーっっっ!!!
厚労省の回答を見る限りだと、1歳6か月を過ぎて、4月に1歳児クラスへの入園が決まっていた人が、一瞬だけ復職したものの再度自主的に登園を自粛した場合は、育児休業給付金は支払われない、ということになるのだろうか・・・? ううー、よく読み取れない・・・。これは引き続き調査していきます。
育児休業者の扱いについては、3月時点からかなりいろんな議論があり、見解が定まらず一時はかなり混乱が見られたようです。4月頭のころには「復職しないと内定取り消しになる」という江東区の事例がWEBニュースに出たこともありました。
「育休延長なら保育園の内定辞退を」新型コロナで決断を迫られる親たち(東京都江東区) ハフポスト 2020年04月06日
https//www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5e8a5503c5b6cc1e4777852b
(中村かさねさんの記事!←以前インタビューを受けたことがあり、個人的にファン)
できる限り正確な情報のご提供につとめましたが、最終的には必ず、保育園や保育課、会社の雇用保険担当者に確認してくださいね!!