2020年6月に発表されるや否や、コーヒーを吹き出した世田谷の「待機児童ゼロ」報道について、ABEMA Prime: 報道リアリティーショー #アベプラが特集。乙武洋匡さんやエッセイストの紫原明さん、タレントのパックンさんや夏野剛教授といった論客の皆さまの隅っこで、わたくしもオンラインでゲスト出演させていただきました。
ゼロはゼロでも、ゼロじゃない!?
アベプラでも報道されていたのですが、待機児童の定義というものは大変あいまいです。国や各自治体によってカウントの仕方が異なるところが注意ポイント。
待機児童というと「どこにも行き場がない人」というイメージだと思うのですが、例えば「認可に入りたいのに入れないから認可外で待っている」という人を待機児童とする自治体もあれば、待機児童にカウントしない自治体もあります。
「どこまでを待機児童とするか」は、各自治体の保育政策の思想がけっこう詰まっているポイントなんですよね。
で、実際に何園か保育園探しをしてみると「行けないこともないけど、積極的に行きたくはないなぁ…」という印象の園がちらほら出てくると思います。
ビミョーに行きにくいとか(立地)
ビミョーにボロいとか(ハード面)
ビミョーに合わなさそうとか(ソフト)
何らかの条件が合わなかった園が、例えば自宅から2km以内にあったとして、その園に空き枠があったにも関わらず行かなかった(選ばなかった)場合、世田谷では待機児童にはなりません。
( д) ゚ ゚
マジですかー!って感じですが、そうなのです。
で、なんでそんなことが起こるの?って話をアベプラでもさせていただきました。
園を選ぶのは当たり前の時代になってきた
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こういうことを書くと「ぜいたくは敵だ!」みたいな声が聞こえてきそうですね。
実際、保活講座を始めた2015年ごろや、もっと前の保育園の数が少なかった時代には、保育園を「選ぶ」なんてことはありえない話だったのです。
入(はい)れればどこでもいい。とにかく保育園の座をゲットしないと復職できない!
選びたくたって選べない憧れの(?)場所。それが保育園というところでした。
今年は世田谷区、大変な財政出動と行政の努力によって保育園を大幅に増やしましたが、利用者の感覚は「はいれればどこでもいい」から「子どもと自分の方針に合った園でなければ入園を見送る」へと徐々に移ってきています。
実際、データを見ても、ほんの2年前まで「潜在的待機児童」の大半は「認可外(認証)で認可が空くのを待っている人」でしたが、いまはその図式が塗り替わって「半径2㎞以内に空いてる保育園はあるけど入園を希望していない」人が、多数派になっています。
そしてまた、世田谷は、地域による偏りも大きいところです。
保活というのは自宅からせいぜい2㎞圏内という狭いエリアの中の話。そもそも自宅から1.5㎞以上離れると、通園がかなり大変になってくるような世界なので、世田谷広域で見ると「足りている」ように見える保育園も、局地的に0歳児1歳児が集中して競争率が激化するホットスポットのような地域が、毎年あちこちにできるわけですね。
結果、アベプラにご出演されていた保活ママの山田さん(仮)のように、何園見学をしても何か月前から申し込んでも「不承諾」という結果になることが出てきます。
万年全国ワーストワンだった世田谷が、待機児童をゼロに持って行ったことは、本当にすばらしいことでした。でもその実情は、ここ数年の意識の変化とともにちょっと性質が変わってきていることを、念頭に入れておかねばならないです!