3月2日からの休校要請、4月8日の緊急事態宣言以来、ずっと空白状態になっている教育と保育。ついに、というか、ようやく、というか、子どもたちの学ぶ権利を守るための「9月入学」案が、5月19日に政府から出されました。
これがなんと丸ごと未就学児にしわ寄せがいくパターン…。
にわかに具体的になってきた【9月入園】。保活はいったいどうなるのー!
9月入学の具体案2案と、開始時期とは?
今回は引用素材多めですみません。各マスコミから素材あれこれ借用いたします。
試行するとしたら、2021年から
にわかにピンとこないのですが、例えばいま保育園で5歳児クラスにいるわが子は、来年の8月いっぱいまで保育園で5歳児をやり続け、2021年9月に入学となる、ということのようです。
現在育休中で0歳児や1歳児の内定が決まっている、という方も同じですね。来年の8月いっぱいは、現在の学年(クラス)でそのまま登園。東京23区では育休明け復帰を「10月1日までに復帰」としている自治体がいくつかありますが(足立区、葛飾区など)、この措置、9月入園を見越した設定だったのかしら。
移行パターンは2案 一気にやるか、5年かけて段階的にやるか
パターン①は一気呵成に移行が進みますが、この場合は現在の5歳児クラス(2021年新一年)が一気に1.5倍に膨れ上がります。
となると真っ先に感じるのが「その1.5倍は、どこに入れるの?」ということ。校舎も学童のスペースも園舎も保育士さんも足りないし、待機児童も一時的に1.5倍。
このように、後ろ倒しにすると未就学層への負担が莫大なので、 5歳児の一部を前倒しにして2020年9月から施行という声も自民党内にはあるようです。ひょええ。5歳児クラスで4月生まれのうちの子、いきなりこの秋から小学生!? まだランドセル買ってないよ!(関係ない)
パターン②はパターン①に比べて余波は少ないように思いますが、
●2015年4月生まれ
●2016年4月、5月生まれ
●2017年4月、5月、6月生まれ
●2018年4月、5月、6月、7月生まれ
●2019年年4月、5月、6月、7月、8月生まれ
の子たちが、それぞれ飛び級することになります。例えば、現在4歳児クラスの4月生まれのお子さんは、いまは4歳児クラスにいるけれど、小学校入学に備えて今年の9月から5歳児クラスに移動する、ということもあろうかと(ここはどう保育現場が対応していくかのプランは明言されていません)。
2020年4月から8月に生まれる赤ちゃんたちは、通常なら「保育園に入りやすい」月齢でしたが、一転「早生まれ」扱いとなり、例えば生後7か月以降にしか入れない保育園などに0歳児入園をすることが難しくなります。
保育士さんや学校の先生などはご自身の子が4月、5月生まれになるように妊娠出産を調整される方も少なくないと聞きましたが、それが仇となる制度変更に「オーマイガー!!」となっているのではないかと…。
育児休業中の保証がある会社員はいいけれど、フリーランスなど給与保証がない人は「ぐぬぬ…」となりますね。今年度に出産するけれど、保育園の一斉進級のタイミングが来年9月となると、かなり長い期間待機状態になる。となると、その間を埋める認可外保育園のニーズも一時的にぐっと高まりそうな予感がします。
となると、保活スケジュールはどうなるの?
9月入園が正式に決まれば、基本的に現行の制度が5ヵ月ずつずれ込んでいくことになろうかと思います。
これを見る限り、前倒し案は「ないな~」と改めて思いますね。もし今年9月から施行だと、次年度の0歳児さん、1歳児さんは、この段階ではすでに入園申し込みをしてないといけない時期だから。
新設保育園は4月開園が多い→9月に合わせて後倒し?
各地域では、2021年4月、2022年4月の開園を目指して新設の保育園の設置も進んでいます。これらを前倒し、というのはあまり現実的でない気がするので、多くの新設保育園はすべて9月開園へ後ろ倒しになるイメージなのでしょうか。となると、運営法人(社会福祉法人など)が4月に向けて確保していた保育士さんや看護師さん、栄養士さんなどはどうなるのだろう。
新設の保育園ってほんとにギリギリにしか完成しなくて、例年の保活講座では「見学したいのにできない!」というジレンマの声をよく聞かれるのですが、もし後ろ倒しになるとすると、園舎をしっかり見学できていい、というメリットはあるやも、ですね。
未就学児への負担をどう考えるか
この話題になると、いままさに危機に直面している受験生など、要は「小学生以上の子どもの育ち・学力のほうが大事!」という意見が、圧倒的多数になってしまいます。
ダメージが比較的少ない未就学児と保育・幼児教育の現場で調整するのが、社会全体から見ると合理的であるという意見。
それが先鋭化して「どっちが大事か」「どっちが優先か」という議論に発展すると、なんだか悲しくなってしまう。
私個人は、制度が大きく変わるときは必ず痛みを伴うものだと思っています。前倒し案でも後ろ倒し案でも、モロに影響をかぶる5歳児クラスのわが子はちょっとかわいそうだけど…。
でも「子どもの学びのほうが大事だろっ」ってバッサリと一刀両断されると、なんだかなあと感じてしまう。どっちが大事かといわれたら、どっちも大事だよ!としか言えない。小学生の修学旅行も、保育園の親子遠足も、どっちも大事。
制度変更がなされる際、こうした「痛み」に配慮して目を向けることを忘れないでほしい。育児休業給付金の給付問題で涙を飲む人しかり、どうしてもどうしてもしわ寄せがくるところに向けるものは、保証や制度だけでなく社会の目も、暖かいものであってほしいのだよなあ、と感じるわけです。